基盤研究では書けているのに、挑戦的研究(萌芽)になると急に筆が止まる。これは申請書の支援の現場で本当によく聞く悩みです。500件を超える産学連携や申請の相談に関わってきて感じるのは、このつまずきの多くが「内容が弱い」のではなく「新しさの伝え方」にあるということです。
なぜ「挑戦性」は伝わりにくいのか
日本学術振興会の資料によると、挑戦的研究は「これまでの学術の体系や方向を大きく変革・転換させることを志向」する研究を支援する種目で、萌芽は探索的性質の強い研究や芽生え期の研究も対象とされています。研究期間と研究費は、萌芽が2〜3年・500万円以下、開拓が3〜6年・500万円以上2,000万円以下です(2026年度版パンフレットの記載。最新の公募要領を確認してください)。
ここで起きるのが「専門知の呪い」です。書き手にとって自明な常識は、読み手の頭の中に存在するとは限りません。人が「新しい」と感じるには、比べる基準点が必要です。基準点が書かれていない文章では、「革新的」「画期的」という言葉だけが並び、何が新しいのかは審査員の想像に任されてしまいます。
「新しさ」を一瞬で伝える3ステップ
ステップ1:覆す「常識」を一文で書く
冒頭に「〜と考えられてきた」という形で、覆したい常識を書きます。これが新しさを測る基準点になります。分野外の人が読んでも意味が取れる言葉で書くのがコツです。
ステップ2:問いを1つに絞る
「常識は本当にそうか」を、検証できる問いの形にします。問いが3つも4つもあると、審査員は何を読み取ればよいか分からなくなります。認知負荷を下げる意味でも、中心の問いは1つにします。
ステップ3:期間内にできる「最初の検証」だけを書く
萌芽の期間は2〜3年です。10年後の全体像を描くより、この期間で何が分かるかを具体的に書くほうが、挑戦性と実現可能性の両方が伝わります。探索的な研究であれば、「うまくいかなかった場合でも何が分かるか」まで書いておくと、計画の誠実さが伝わります。
やりがちなNG
- 形容詞で挑戦性を表現する(「画期的」「革新的」を使うほど、中身が見えなくなります)
- 「〜を目指す」で終わり、何を検証するのかが書かれていない
- 将来構想を詰め込み、2〜3年の計画が見えない
- 自分の分野の略語や前提を説明なしに使う
私は、結果を盛る書き方や代筆はしません。研究者本人の考えを、審査員に伝わる形に設計し直すことに徹します。直す対象は、言葉の強さではなく「何を・どこまで」の明確さです。
まとめ
挑戦的研究(萌芽)では、「覆す常識」「問い」「最初の検証」の順に書くだけで、新しさと実現可能性が同時に伝わるようになります。審査基準の読み方は科研費の評定要素から逆算する方法、計画の書き方は研究方法欄の書き方、提出前の確認は3回読みのチェックリストも参考にしてください。申請書の構造設計の相談は研究者・大学向けのサービスページから受け付けています。
よくある質問
Q. 挑戦的研究(萌芽)と基盤研究(C)は、どう使い分ければよいですか。
確実に進む計画を磨くのが基盤、うまくいけば大きく変わる探索の第一歩を試すのが萌芽、という目的の違いで考えると整理しやすくなります。重複応募・受給の制限は年度ごとに見直されるため、最新の公募要領で確認してください。
Q. 予備的なデータがなくても萌芽に応募できますか。
探索的な研究も対象とされていますが、「なぜ可能性があると言えるのか」を示す根拠は必要です。大きなデータでなくても、先行研究の矛盾や小さな予備観察など、問いの出発点となる事実を1つ添えると説得力が増します。
Q. 審査員は自分の分野に詳しい人ばかりですか。
審査は書面で行われ、専門が近いとは限らないと考えて書くのが安全です。概要欄の冒頭に、分野外の人にも通じる言葉で「覆す常識」と「問い」を書いておくと、読み飛ばされにくくなります。
\ LINE登録で無料プレゼント /
『9つの伝わる型 図解ハンドブック 完全版』
PDF・57ページ/35の研究にもとづく「なぜ効くのか」まで解説
60秒診断・伝え方ミニ講座もLINEでお届けします
📱 友だち追加して特典を受け取る登録は無料・配信はいつでも解除できます