THE LAB伝わるを科学する

アリストテレスからAIまで、2400年の「伝わるを科学する」をたどる全27章の連載シリーズ。

第24章 神経美学と「感動の設計」 — 「なんかいい」の正体を科学はどこまで解いたか

ゼキの神経美学、ラマチャンドランの芸術の法則、処理流暢性と美の関係。第8章でカントが立てた「主観的普遍性」の謎に、現代科学は身体という答えを半分だけ返しました。しかし感動の設計は自己破壊的で、来歴が体験そのものを変えます。生成AI時代の作者性まで含めて、芸術からの視線の最終形を描きます。

第23章 機械は人を説得できるか — ディープフェイクとGEOの時代の倫理

AIの説得力は賢さではなくコストの安さから来ています。陰謀論を対話で解きほぐした実験、個別化説得が社会的反証を無効にする構造、嘘つきの配当とエトスのインフラ危機、そして読者が人間だけでなくなったGEOの時代。プラトンとバーネイズの系譜に、透明性・可逆性・利益の所在という基準を置きます。

第22章 言葉の限界費用ゼロ — 整った文章が、証明でなくなった日

生成AIが崩したのは創作の限界費用でした。570年前に複製の限界費用が崩れたグーテンベルクの反復です。ザハヴィのハンディキャップ原理とスペンスのシグナリング理論を補助線に、無料で作れるものはなぜ信頼の証拠にならないのか、そして「誰が言うか」=エトスがどう復権するのかを読み解きます。

第21章 SNS — 全員が発信者になり、アルゴリズムが編集長になった

配信者に感じる親しさは1956年のテレビ研究が名づけたパラソーシャル関係の再来です。アルゴリズムという新しい編集長、エコーチェンバー論への実証的反論、怒りが速い理由、そして1961年の接種理論がプレバンキングとして復活するまで。SNSは新しい原理を持ち込まず、古い原理を桁違いの規模で作動させました。

第18章 レトリックの復権 — メタファーは飾りではなく、思考の骨格だった

「議論は戦争だ」というレイコフとジョンソンの発見は、プラトンの告発への2300年越しの反論でした。精緻化見込みモデルの二つのルート、タフテのデータインク比、ノーマンのアフォーダンス。平明文体運動が「比喩を削れ」と言い続けた300年に、認知科学が出した答えを追います。

第17章 ヒューリスティクスの帝国 — 人はなぜ、そう判断してしまうのか

アンカリング、利用可能性、代表性。プロスペクト理論と損失回避、アジア病問題のフレーミング効果。そしてチャルディーニの6原理をアリストテレスの三要素の現代語訳として読み直します。あわせて、この分野を襲った再現性の危機と、カーネマン自身による訂正にも触れます。

第15章 テレビ — 顔が政治を変えた日、器がメッセージになった時代

1960年のテレビ討論で本当は何が起きたのか。ラジオとテレビで勝敗が逆転したという逸話の検証、本人が捏造を認めたサブリミナル実験、マクルーハン「メディアはメッセージである」の本当の意味、そしてポストマンのテレビ論がなぜ今SNSの解説書として読めるのかを追います。

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