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AMED公募の提案書の書き方|審査項目から逆算して「答えの一文」を先に置く3ステップ

公募要領を何度も読んだのに、いざ提案書を書き始めると「どの項目を、どこに書けばいいのか」で手が止まる。AMEDの公募に挑む研究者から、こうした声をよく聞きます。研究の中身は十分なのに、提案書の組み立てで損をしているケースが少なくありません。この記事では、評価項目から逆算して提案書を組み立てる3ステップを紹介します。

なぜAMEDの提案書は書きにくいのか

理由は、問われることが多面的だからです。研究の新しさだけでなく、社会的ニーズ、計画の妥当性、体制、経費、終了後の道筋まで、複数の観点で見られます。ある事業の公募説明資料では、評価の観点として「事業趣旨等との整合性」「科学的・技術的な意義及び優位性」「計画の妥当性」「実施体制」「所要経費」「実用化に向けた見通しなど事業で定める項目」の6つが示されていました。

ここで効いてくるのが「専門知の呪い」です。研究者は自分の研究の価値を知りすぎているため、つい研究の面白さの順に書いてしまい、審査項目の問いに答える順番になりません。審査員は限られた時間で複数の提案を読むので、問いへの答えが探さないと見つからない提案は、認知負荷が高く、評価も伸びにくくなります。500件を超える産学連携や補助金・申請書の支援の現場でも、中身は良いのに答えが見つかりにくい書類を何度も見てきました。

評価項目は「提案書のどこで答えるか」に置き換える 評価の観点審査員の問い答える場所(提案書)事業趣旨との整合公募の目的に合うか✓ 冒頭の1行意義・優位性何が新しく、誰に要るか✓ 背景・目的計画の妥当性目標と手順は明確か✓ 計画・ロードマップ実施体制役割分担は適切か✓ 体制図所要経費内訳は妥当か✓ 経費表実用化の見通し終了後の道筋はあるか✓ 将来構想 ※項目は事業ごとに異なる。公募要領の審査項目で確認
図1:ある公募の6つの評価の観点を、提案書の答える場所に対応づけた表

同じ資料には、一部の項目が「不十分」だと不採択になる旨の注記もありました。得意な項目を磨くより、全項目に漏れなく答えることが先です。

審査項目から逆算する3ステップ

書き始める前の30分で、次の3つを済ませます。文章を磨く前に、構造を決めてしまうのがコツです。

書く前の30分でやる3ステップ ① 項目を書き出す公募要領の審査項目を転記② 一文で答える各項目に「結論の一文」③ 章の冒頭に置く結論→根拠の順で並べる 書く前に、審査員の採点軸を自分の言葉にしておく
図2:審査項目を「答えの一文」に変え、各章の冒頭へ置く3ステップ

ステップ1:審査項目を書き出す

公募要領の審査項目と観点を、そのまま転記します。ここで大切なのは、審査員の問いを自分の言葉に言い換えることです。たとえば「計画の妥当性」は「3年で何を達成するか、手順は具体的か」と読み替えます。

ステップ2:各項目に「答えの一文」をつくる

項目ごとに、結論を一文で書き出します。この一文が、各章の冒頭に置く文になります。特に「事業趣旨との整合」は、「合致します」と宣言するだけでは情報が増えません。対象・期間・成果で示します。

「合致します」より「何を・いつまでに」 × 趣旨を言い換える「本事業の趣旨に合致します」審査員:「で、何をするの?」言い換えだけでは情報が増えない✓ 対象と期間で言う「対象は希少疾患。3年で有効性を示す」審査員:「目標が1行でわかる」対象・期間・成果が入っている 整合性は宣言せず、対象・期間・成果で示す
図3:趣旨との整合は、言い換えでなく具体で示すと一瞬で伝わる

ステップ3:ロードマップと体制図で「見せる」

公募要領には、研究全体の目標達成に向けたロードマップの作成や、体制図での役割と相互連携の明示を求める記載がある事業があります。文章で説明するより、図で見せるほうが把握は一瞬です。期待される成果は、学術的・社会的・経済的なメリットに分けて具体的に書きます。

そして、提出後に提案書があなたの代わりに語ることを忘れないでください。書面審査やヒアリングの日程は事業ごとに決まっており、締切後に補足を挟める場面は限られます。

提出後に語るのは提案書だけ 書き直せる期間提案書だけが審査員と話す受付開始10月下旬提出締切11月下旬書面審査12月上旬〜ヒアリング1月下旬結果通知2月中旬 令和9年度のある公募の予定。日程は事業ごとに異なる
図4:提出締切のあと、提案書は書き手なしで審査員に読まれる

やりがちなNG

  • 趣旨に合うことを、「合致します」の言い換えだけで済ませる
  • 得意な学術的意義だけを厚く書き、体制・経費・実用化の見通しが薄い
  • 専門用語のまま書き、専門が近くない審査員には何が新しいか伝わらない
  • 公募要領の日程・金額を前年の記憶で書く(最新の公募要領を必ず確認)

まとめ

AMEDの提案書は、研究の魅力を語る文章ではなく、審査項目への答えを並べた設計図です。項目を書き出し、答えの一文をつくり、章の冒頭に置く。この順番だけで、読み手の負荷は大きく下がります。資金調達全体の順番は大学発スタートアップの資金調達の記事、同じ公的資金の提案書としてJSTさきがけの提案書の書き方も参考になります。起業を見据える方はスタートアップ・マップもご覧ください。申請書の構造設計のご相談は、研究者・URA向けの支援ページからどうぞ。捏造や代筆はせず、伝わる形への設計に徹します。

よくある質問

AMEDの提案書は、科研費の申請書と何が違いますか?

学術的な意義に加えて、事業趣旨との整合、実施体制、所要経費、実用化の見通しなどが問われる事業が多くあります。ただし評価の観点は事業ごとに異なるため、必ず最新の公募要領の「審査項目と観点」を確認してください。

評価項目はどこで確認できますか?

各事業の公募要領の審査に関する節(「審査項目と観点」など)と、公募説明資料に載っています。締切や日程も事業ごとに変わるため、最新の公募要領で確認するのが確実です。

提案書の代筆や、成果の盛り込みを頼めますか?

代筆や、事実にない成果の記載はしません。研究者ご自身の内容を、審査員に伝わる順番と形に設計することに徹します。

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この記事を書いた人

伸

村中 伸滋 伸滋Design 代表

「伝わる」を科学するプレゼンテーションデザイナー / 外部CSO。認知科学・行動経済学・神経科学の知見をコミュニケーション設計に応用し、経営層の戦略プレゼンから学会発表・研究費申請書まで支援。国際学術誌 ChemPhotoChem の表紙アート採用、大学学長の国際連携プレゼンテーション制作支援などの実績。

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