組織・対話・信頼

悪魔の代弁者(デビルズ・アドボケイト)とは?「反対役を置けば会議は良くなる」を、本物の異論と比べた実験はどう裁いたか

役員会で新規事業の提案が一通り終わったあと、議長がこう言います。「じゃあ今日は田中さん、反対役をお願いします」。指名された田中さんは少し困った顔をしながらも、思いつく懸念を三つ四つ並べます。提案側がそれぞれに答え、議長が「よく検討できたね」とまとめて、案は原案どおり通ります。

この「反対役」は、経営学の教科書では悪魔の代弁者(devil’s advocate)と呼ばれてきました。全員が同じ方向を向いた会議は危ない。だから意図的に反対意見を言う人を置けば、見落としが減り、決定の質が上がる。そう説明されることが多い手法です。

ところが、この手法を「本物の反対意見」と正面から比べた実験では、少し違う結果が出ています。反対役の指摘を聞いた人は、かえって最初の案を守る理由を探し始めることがあるのです。この記事では、悪魔の代弁者が経営の現場に入った経緯、それを支持した研究、そして「本物の異論」と比べた実験が何を示したかを順に見ていきます。最後に、形だけの反対役にしないための設計を4つ提案します。

悪魔の代弁者(デビルズ・アドボケイト)とは何か

悪魔の代弁者とは、会議や意思決定の場で、本人の意見にかかわらず意図的に反対の立場から批判を述べる役割です。もともとはカトリック教会で、ある人物を聖人に列するかどうかを審査するときに、あえて反対論を述べる役職の通称でした。列聖に慎重を期すため、賛成側だけでなく「認めるべきでない理由」を専門に探す人を置いたのです。

この考え方を企業の意思決定に持ち込んだのが、経営学者のセオドア・ハーバートとラルフ・エステスです。1977年に『Academy of Management Review』で「企業の悪魔の代弁者」という制度を提案しました。同じ時期に、心理学者アーヴィング・ジャニスが集団浅慮(groupthink)という概念を広め、その予防策のひとつとして悪魔の代弁者の指名を挙げています。集団浅慮とは、仲間内の結束を優先するあまり、批判的な検討が抑え込まれてしまう現象です。

つまり悪魔の代弁者は、「異論が自然に出ない集団に、人為的に異論を注入する装置」として設計されました。この設計思想を覚えておくと、後の実験結果が読みやすくなります。

「反対役を置くと決定の質が上がる」は、どこまで確かめられたのか

1980年代の実験では、悪魔の代弁者を使った集団は、ただ合意を目指した集団より質の高い提案を出しました。ただし、参加者の満足度や決定への納得感は下がる傾向も同時に報告されています。

代表的なのは、デイビッド・シュヴァイガーらが1986年に発表した実験です。学生を小集団に分け、経営上のケースについて三つの方法で議論させました。ひとつは全員の合意を目指す方法。もうひとつは悪魔の代弁者が提案を批判する方法。三つ目は弁証法的探究(dialectical inquiry)と呼ばれ、正反対の前提に立った二つの案をぶつけて議論する方法です。結果として、悪魔の代弁者と弁証法的探究を使った集団は、合意型より質の高い前提と提案を生み出しました。一方で、合意型の参加者のほうが決定に満足し、また一緒に働きたいと答える割合が高かったのです。

この分野の実験を集めて統計的に統合したのが、チャールズ・シュウェンクによる1990年のメタ分析です。メタ分析とは、複数の研究結果を一つにまとめて、全体としてどれくらいの効果があるかを推定する手法です。シュウェンクの結論は三つでした。悪魔の代弁者は、専門家に任せて対立を起こさない方法より全般に有効である。弁証法的探究の優位は、答えの定まらない課題では確認できなかった。そして、悪魔の代弁者と弁証法的探究のどちらが優れているかは示せなかった、というものです。

図1|反対意見を「つくる」3つの方法と、1990年メタ分析の結論 合意型(対立なし) 専門家や担当者の案を 全員で検討して合意する 満足度・納得感は高い 見落としは出やすい 悪魔の代弁者 指名された1人が 案の弱点だけを批判する 提案の質は上がる 満足度は下がることがある 弁証法的探究 正反対の前提に立つ 2つの案をぶつけて議論する 提案の質は上がる 手順が重く、時間がかかる シュウェンク(1990)のメタ分析 ・悪魔の代弁者 > 合意型(対立なし) ・弁証法的探究 > 合意型は、答えの定まらない課題では未確認 ・悪魔の代弁者と弁証法的探究のどちらが優れているかは示せなかった
図1:「反対役を置けば合意型よりまし」までは1990年時点で支持されていた。問題は、その反対が「本物」でなくてもよいのか、という点である。

ここまでを整理すると、「対立をまったく起こさない会議より、反対役を置いた会議のほうが提案の質は上がる」という主張は、1990年の時点で一定の裏付けがありました。ただし、これらの実験が比べていたのは「反対役あり」と「反対なし」です。「反対役」と「本当に反対している人」を比べてはいませんでした。

本物の異論と比べると、何が違ったのか

同じ反対意見でも、「本当にそう思っている人」の言葉と「役割として言わされている人」の言葉では、聞き手の頭の中で起きることが違いました。本物の異論は反対側の可能性を考えさせ、役割の異論は最初の立場を守る理由探しを促したのです。

この違いを示したのが、カリフォルニア大学バークレー校の社会心理学者シャーラン・ネメスらによる2001年の二つの研究です。ネメスは長年、少数派の意見が多数派の思考に与える影響を研究してきました。彼女の一連の研究では、一貫して異論を唱える少数派に触れた人は、情報をより広く探し、問題を深く検討し、独創的な解決策を出しやすくなります。これを発散的思考(divergent thinking)と呼びます。

では、その少数派が「役割として反対しているだけ」だとわかっていたらどうなるか。『Journal of Applied Social Psychology』に載った実験では、参加者に同じ反対意見を示し、それを「本当にそう考えている人の意見」と伝える条件、「悪魔の代弁者として割り当てられた人の意見」と伝える条件、反対意見を示さない条件を比べました。本物の少数派に触れた人は、自分の立場を支持する考えと反対する考えのバランスが取れ、意見も有意に反対側へ動きました。悪魔の代弁者に触れた人では、意見の変化は有意ではなく、むしろ自分の最初の立場を支持する考えが対照条件より少し増えました。研究者たちはこれを認知的補強(cognitive bolstering)と呼んでいます。

もう一つの実験は『European Journal of Social Psychology』に発表されました。今度は「悪魔の代弁者」を三つの形に分け、本物の少数派と比べています。反対役が本心でも反対している場合、本心では賛成している場合、本心が不明な場合です。測ったのは、参加者が考え出した解決策の数と質でした。結果は、本物の少数派が三つの形の悪魔の代弁者すべてを上回るというものでした。反対役が本心でも反対しているとわかっている場合でさえ、「役割として言っている」という枠組みがつくと、効果は本物の異論に及ばなかったのです。

図2|同じ反対意見でも、聞き手の頭の中で起きることが違う 本物の異論(本当にそう思っている人) 発散的思考 賛成と反対の両側の考えが出てくる 解決策の数と質が上がる 意見が反対側へ有意に動く 「聞く価値がある」と受け取られる 役割としての反対(悪魔の代弁者) 認知的補強 最初の立場を守る理由を探し始める 解決策は本物の異論に及ばない 意見の変化は有意にならない 「反論は済んだ」という安心感が残る 出典:Nemeth, Connell, Rogers & Brown(2001)/Nemeth, Brown & Rogers(2001)をもとに作図
図2:反対役の指摘に答え終えた瞬間、人は「もう検討した」と感じやすい。その安心感が、かえって最初の案への固執を強めることがある。

ネメスらは論文の中で、こう推測しています。反対役の意見に触れたことで「別の案も考えた」と信じた人は、最初の立場をいっそう正しいと確信し、再考に対してより硬くなるかもしれない、と。冒頭の役員会で起きていたのは、まさにこの現象だった可能性があります。

ただし、これらの実験には限界もあります。参加者は一人で反対意見を読んだだけで、集団での議論は行われていません。反対役が「相手の主張に応じて批判を返す」という本来の仕事をする場面も含まれていませんでした。集団の中で悪魔の代弁者が機能するかどうかは、別の実験で確かめる必要がありました。

201人の管理職の実験では、何が確証バイアスを減らしたのか

集団の中で比べた実験でも、意見が最初から割れている集団のほうが、反対役を置いた集団より偏った情報収集を防げました。決め手は「自信の低下」でした。

ドイツの社会心理学者シュテファン・シュルツ=ハルトらは、2002年に『Organizational Behavior and Human Decision Processes』でこの実験を報告しました。参加者は企業や公的機関で働く201人の従業員と管理職です。まず一人ひとりが経営ケースを読み、二つの選択肢のどちらかを選びます。そのうえで3人組をつくるのですが、ここで二種類の集団を用意しました。全員が同じ選択肢を選んでいた「意見が揃った集団」と、2対1で分かれていた「意見が割れた集団」です。さらに、それぞれの半分に悪魔の代弁者の手順を課しました。手順あり・なしと、意見の揃い方を掛け合わせた2×2の設計で、分析対象は64集団でした。

測ったのは、仮の決定を下したあとに追加情報を選ぶ場面での偏りです。人は自分の決定を支持する情報ばかり選びがちで、これを確証バイアスと呼びます。この実験では、意見が最初から割れていた集団のほうが、悪魔の代弁者を置いた集団より、確証バイアスの抑制に効果がありました。そして統計的に媒介を調べると、「自分たちの仮決定が正しいという自信」の低下が効果を説明していました。本物の異論は自信を下げ、自信が下がると反対情報も取りに行く。役割としての反対は、その自信をあまり揺るがさなかったのです。

図3|201人の管理職実験のデザインと結果(Schulz-Hardt ほか 2002) 悪魔の代弁者なし 悪魔の代弁者あり 意見が揃った集団 (3人とも同じ案) 意見が割れた集団 (2対1で分かれる) 確証バイアスが 最も強く出る 反対役の効果は 本物の異論に及ばない 偏りが抑えられる (自信の低下が媒介) 偏りが抑えられる (本物の異論が主因) 読み取り方 効いたのは上下の違い(本物の異論の有無)。左右の違い(反対役の有無)は、それに及ばなかった。
図3:参加者201人・分析64集団。同じ「反対意見がある会議」でも、その反対が本物かどうかで、集団の情報の集め方は変わった。

この実験は、人為的に対立をつくる手法が無意味だと言っているわけではありません。研究者たちは、反対役を置く方法には「集団の雰囲気を壊しにくい」「メンバー構成を変えずに済む」という実務上の利点があることも認めています。本物の異論を集めるために人を入れ替えるのは、多くの組織で現実的ではないからです。問題は、その利点と引き換えに、肝心の「自信を揺らす力」が弱まる点にありました。

反対役を引き受ける人と、批判される人には何が起きるのか

反対役を務める本人より、批判を受ける側のほうが強い脅威反応を示しました。反対役を固定すると、特定の人が繰り返し「標的」になる点にも注意が要ります。

ロチェスター大学のジェレミー・ジェイミソンらは2014年、3人組でマーケティング課題に取り組む実験を行いました。参加者は「反対意見を述べる役」「反対意見を受ける役」「どちらでもない役」のいずれかに割り当てられ、心拍や血管の反応を計測されています。反対意見を述べた人は、課題に前向きに取り組むときの心血管パターンを示し、状況を「対処できる挑戦」と受け止めていました。一方、反対意見を受けた人は血管が収縮する回避型の反応を示し、自尊心、所属感、統制感、存在意義という四つの基本的欲求すべてに脅威を感じていました。反対役の側が脅威を感じたのは、所属感と自尊心の二つにとどまっています。

この結果は、悪魔の代弁者を「誰にやらせるか」と同じくらい、「誰の案が批判され続けるか」に目を配る必要があることを示しています。同じ人の提案ばかりが反対役の標的になる会議は、その人の発言意欲を削ぎ、結果として異論の総量を減らしかねません。心理的安全性の研究が示すとおり、異論が出る土壌は「批判されても大丈夫」という経験の積み重ねでできています。

AIに悪魔の代弁者を任せると、どうなるのか

会話に応じて批判を返すAIの反対役は、集団の判断精度を有意に高めました。ただし、その集団のメンバーは、自分たちの出来やチームワークを最も低く評価していました。

パデュー大学のチュンウェイ・チャンらは2024年、大規模言語モデル(LLM)を反対役にした実験を『IUI 2024』で発表しました。参加者350人が3人組をつくり、AIの再犯リスク予測を参考にしながら、被告が再犯するかどうかを8件判断します。条件は五つでした。反対役なしの対照条件に加え、AIの反対役が「AIの予測」を批判するか「多数派の意見」を批判するか、そして議論の冒頭に一度だけ問いを投げる静的型か、会話に応じて返答する対話型かを組み合わせています。

AIの予測を対話型で批判する反対役を入れた集団は、対照条件より判断精度が有意に高くなりました(標準化した精度の回帰係数 0.135、p=0.047)。ところが、この条件の参加者は、自分たちの判断の出来を最も低く評価し、チームメンバーが出した情報の正確さも低く見積もっていました。成績は最も良いのに、手応えは最も悪かったのです。一方、多数派の意見を批判する反対役は、AIの使い方に有意な影響を与えませんでした。

図4|AIの反対役:成績と手応えが逆方向に動いた(Chiang ほか 2024) 条件:AIの予測を、会話に応じて批判し続ける対話型の反対役(参加者350人・3人組・8課題) 実際の判断精度 対照条件より有意に高い 回帰係数 0.135(p=0.047) 自分たちの出来・チームワークの実感 5条件の中で最も低い 仲間の情報の正確さも低く評価 「良い判断ができた」という実感と、実際の判断の質は、必ずしも一致しない
図4:反対役の導入を「参加者の満足度」で評価すると、実際に効いている仕組みほど不評に見えることがある。効果測定の指標を分ける必要がある。

この研究には注意点があります。課題は再犯予測という特殊なもので、査読はされていますがまだ追試は多くありません。また、AIの反対役が効いたのは「AIの予測を疑わせる」場面であって、人間同士の合意を揺らす場面ではありませんでした。それでも、成績と手応えが逆方向に動いたという結果は、反対役の効果を「会議の満足度」で測ってはいけないという教訓として重要です。1986年のシュヴァイガーらの実験でも、悪魔の代弁者は提案の質を上げながら満足度を下げていました。40年近く経っても、同じ構図が繰り返されています。

形だけの反対役にしないための4つの設計

研究が示す条件をまとめると、悪魔の代弁者は「本物の異論を引き出す前段階」として使うのがよさそうです。反対役そのものに頼るのではなく、自信を揺らし、隠れた情報を出させる装置に組み替えます。

1. 反対役を指名する前に、全員の初期意見を無記名で集める

シュルツ=ハルトらの実験で効いたのは、議論の前から意見が割れていることでした。会議の冒頭で「賛成・反対・保留」を無記名で集めれば、本物の異論がどこにあるかがわかります。割れていれば、反対役は不要かもしれません。揃っていれば、それ自体が警戒信号です。

2. 反対役に「弱点探し」ではなく「別の情報探し」を頼む

案の弱点を並べる批判は、提案側の反論を引き出し、認知的補強につながりやすい形です。代わりに「この案を選ぶなら、まだ誰も出していない情報は何か」を問う役割にします。会議では全員が知っている情報ばかりが話され、一人しか知らない情報が埋もれるヒドゥンプロファイルの問題があります。反対役の仕事を「未共有の情報を出させること」に定義し直すと、批判の応酬になりにくくなります。

3. 反対役と標的を固定しない

ジェイミソンらの実験が示すように、批判を受ける側の負担は大きいものです。反対役を毎回変えるだけでなく、批判の対象を「人の案」ではなく「集団の仮決定」に置きます。「田中さんの案の弱点」ではなく「私たちがいま選んでいる案が失敗するとしたら」という問い方です。これはプレモータムと呼ばれる手法の考え方と同じで、全員が「失敗した未来」を語る側に回ります。

4. 効果を「満足度」ではなく「決定の変化」で測る

チャンらの実験でもシュヴァイガーらの実験でも、効いている条件ほど参加者の満足度は下がりました。反対役を導入したあとに「会議がやりにくくなった」という声が出ても、それは失敗の証拠とは限りません。測るべきは、仮決定が変わった回数、追加で集めた反対情報の数、最終決定後に見つかった見落としの数です。

方法 異論の出どころ 研究が示した強み 研究が示した弱み
悪魔の代弁者 指名された1人の役割 対立なしより提案の質が上がる(1990年メタ分析) 認知的補強を招く。満足度が下がる(2001年、1986年)
本物の異論 最初から意見が割れた構成 自信を揺らし、確証バイアスを抑える(2002年) 構成を選べない場面が多い。結束が下がることがある
プレモータム 全員が「失敗した未来」を語る 標的が人ではなく仮決定になる 形式化すると形骸化しやすい
AIの反対役 会話に応じて批判を返すLLM AI予測への過信を減らし精度が上がる(2024年) 手応えとチームワーク感が下がる。追試はまだ少ない

これらの設計に共通するのは、反対役を「置いて終わり」にしない点です。異論が言える組織とは、反対役がいる組織ではなく、本物の反対が口に出せる組織のことです。悪魔の代弁者は、その状態に至るまでの補助輪として使うのが、研究に照らして無理のない位置づけだと考えられます。

よくある質問

悪魔の代弁者は、やらないほうがいいのですか?

対立をまったく起こさない会議と比べれば、置いたほうが提案の質は上がります。1990年のメタ分析はその点を支持しています。ただし、本物の異論と比べると効果は劣り、最初の案への固執を強める副作用も報告されています。「置けば安心」ではなく、本物の異論を引き出す前段階として使うのが現実的です。

反対役は誰に頼むのがよいですか?

研究は「誰が」より「本心かどうか」と「固定しないこと」を重視しています。ネメスらの実験では、反対役が本心でも反対しているとわかっていても、役割という枠がつくと効果が下がりました。無記名で初期意見を集め、本当に反対している人がいるなら、その人の意見を役割抜きで扱うほうが効果的です。

反対役をやると人間関係が悪くなりませんか?

ジェイミソンらの2014年の実験では、負担が大きいのは反対する側より批判される側でした。反対役を変えるだけでなく、批判の対象を「人の案」から「集団の仮決定」に移すと、特定の人が標的になり続ける状況を避けられます。

AIに反対役をやらせれば、人間関係の問題は解決しますか?

2024年の実験では、AIの対話型反対役が判断精度を上げた一方、参加者の手応えとチームワークの実感は最も低くなりました。人間関係の負担は減っても、「議論がやりにくい」という感覚は残ります。また、この研究はまだ追試が少なく、AIの予測を疑わせる場面に限った結果です。

まとめ

悪魔の代弁者は、異論が出ない集団に人為的に反対を注入する装置として1970年代に経営学へ入りました。対立を起こさない会議と比べれば提案の質を上げる、という点は1990年のメタ分析が支持しています。しかし本物の異論と比べた2001年と2002年の実験では、役割としての反対は聞き手の自信をあまり揺らさず、かえって最初の立場を守る理由探しを促すことがわかりました。2014年の実験は批判を受ける側の負担の大きさを、2024年のAI実験は「成績と手応えが逆に動く」ことを示しています。

明日の会議でできる一歩は、反対役を指名する前に、全員の初期意見を無記名で集めることです。意見が割れていれば、本物の異論はすでにそこにあります。揃っていれば、反対役に「弱点探し」ではなく「まだ出ていない情報探し」を頼んでみてください。

出典

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この記事を書いた人

伸

村中 伸滋 伸滋Design 代表

「伝わる」を科学するプレゼンテーションデザイナー / 外部CSO。認知科学・行動経済学・神経科学の知見をコミュニケーション設計に応用し、経営層の戦略プレゼンから学会発表・研究費申請書まで支援。国際学術誌 ChemPhotoChem の表紙アート採用、大学学長の国際連携プレゼンテーション制作支援などの実績。

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